「『FORUM21』名誉毀損事件」 東京高裁判決 平成19年9月26日(2007/09/26)


このテキストは、東村山市民新聞(無題ページ)で公開されている、所謂、「『FORUM21』名誉毀損事件」の「平成18年(ネ)第3114号謝罪広告等請求控訴事件 (原審・東京地方裁判所平成16年(ワ)第3540号) 東京高等裁判所判決(11ページ分)」 を OCRしたものですので、誤認識の修正はしてありますが、判決文内容を正確に反映していない可能性があります。

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以下、OCR結果。


平成19年9月26日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 早川みゆ紀
平成18年(ネ)第3114号謝罪広告等請求控訴事件 (原審・東京地方裁判所平成
16年(ワ)第3540号)
ロ頭弁論終結日・平成19年7月4日
          判         決
  東京都新宿区○○○○○○○○○○○
    控    訴    人          有 限 会 社 フ ォ ー ラ ム
   同 代 表 者 取 締 役         乙   骨   正   生
  埼玉県狭山市○○○○○○○○
    控    訴    人          乙   骨   正   生
    上記両名訴訟代理人弁護士         菊   池       紘
    同                    田   見   高   秀
  東京都東村山市○○○○○○○○○○○○○○
   控     訴     人         矢   野   穂   積
   同 訴 訟 代 理 人 弁 護 士         申   同   康   一
   同 訴 訟 復代理人 弁 護 士         福   間   智   人
  東京都新宿区○○○○○○○
    被   控   訴   人        創   価   学   会
    同 代 表 者 代 表 役 員         青   木       亨
    同 訴 訟 代 理 人 弁 護 士        福   島   啓   充
    同                    井   田   吉   則
    同                    丸   山   和   広
    同                    新   堀   富 士 夫
    同                    海   野   秀   樹
    同                    小   川   治   彦
          主         文
      東 京 高 等 裁 判 所
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    1 原判決中控訴人ら敗訴部分を取り消す。
    2 被控訴人の請求をいずれも棄却する。
    3 訴訟費用は,第1,2審を通じで被控訴人の負担とする。
          事 実 及 び 理 由
第1 控訴の趣旨
   主文同旨
第2 事案の概要(略語等は,原則として,原判決に従う。)
 1 本件は,宗教法人である被控訴人が,控訴人らに対し,控訴人会社の発行す
る雑誌「FORUM21」に掲載された控訴人乙骨,同矢野及び朝木直子による座
談会記事により,被控訴人が朝木明代東村山市議会議員を殺害した犯人であるとの
印象を与える虚偽の事実を摘示され,名誉を毀損されたと主張して,損害賠償金1
100万円及び遅延損害金並びに同雑誌及び聖教新聞への謝罪広告の掲載を求めた
事案である。
 2 原審は,被控訴人の控訴人らに対する請水を170万円及び遅延損害金の連
帯支払並びに原判決別紙4記載の謝罪広告を上記雑誌に同別紙5記載の条件で1回
掲載することを求める限度で認容し,その余の請求を棄却した。
当裁判所は,原審と異なり,被控訴人の請求をいずれも棄却すべきものと判断し
た。
 3 争いのない事実,争点に関する当事者の主張は,次項に当審における当事者
の主張を付加するほかは,原判決の事実及び理由のΓ第2 事業の概要」2及び3
(原判決2頁24行目から11頁22行目まで)に記載のとおりであるから,これ
を引用する。
 4 当審における当事者の主張
(控訴人会社,控訴人乙骨)
 控訴人らによる名誉段損が成立するためには,一般読者の注意を基準として,本
件記事が,披控訴人が殺害の実行者であると主張していると,文章それ自体から看
      東 京 高 等 裁 判 所
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取し得る,あるいはそれを婉曲に主張していると読解される部分を含んでいるとい
えることが必要である。しかし,本件記事には,被控訴人の幹部が実行犯に朝木明
代市議の殺害を指示したことを端的に意味する文意と読解される文章はない。また
これを婉曲に言及しているといえるためには,被控訴人の幹部が同市議につき言論
的な方法ではない排除の意向を表明したか,その実行犯が被控訴人の何らかの欲求
に関連して犯罪を実行したとの表明があることが必要であり,このいずれの場合に
おいても被控訴人の同市議の活動に対する利害関係や嫌悪意識への言及が必要であ
るところ,本件記事においては,これらの事情(画定要素)について言及した文章
は何ら見いだすことができない。したがって,案件記事が,被控訴人か組織の意思
として殺害事件を遂行させたと指摘したとみるべき根拠はないから,そうした印象
を読者が持つこともない。
(控訴人矢野)
(1) 朝木市議転落死事件が他殺事件であることについては,原審で主張したこと
に加えて,次の根拠がある。すなわち,鈴木康夫名誉教授の意見書によれば,同市
議の遺体の上腕内側部に皮膚変色痕が存在し,これは皮下出血であると認められる
が,転落によるものとはほとんど考えられず,救急隊員が担架に乗せるなどの際に
左右上腕を揉まれたことが推認でき,また,転落の前に他人と揉み合った可能性も
推認できるとし,仮に,救急隊員が担架に乗せる際,両腕を揉んで乗せた事実がな
い場合には,転落の前に他人と揉み合った可能性が高くなるとの判断が示されてい
る。救急隊員らは,同市議の遺体を担架に乗せる際,両腕をつかむという事実がな
かったのは明らかであるから,同市議の上腕の皮下出血は,他人と揉み合って上腕
を強くつかまれた際にできたものである。
(2)被控訴人は,その機関誌「聖教新聞」において,本件訴訟に関し,控訴人ら
を口汚く罵り,攻撃する記事を繰り返し掲載している。被控訴人のこのような言動
に照らせば,被控訴人が法的保護を求めることは,信義則に反し,権利の濫用であ
って許されない。
          東 京 高 等 裁 判 所
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(被控訴人)
 本件検察官発言は,関与の主体が「信者」であることを述べたのではなく,むし
ろ「信者」という言葉を括弧書きにして,あえて「創価学会側」という表現を用い
て団体である被控訴人を強調するものになっているから,一般読者は,関与の主体
は「創価学会」であると埋解することになるのである。
 本件記事中の本件問題部分より前の記述部分は,一般読者に対し,朝木市議転落
死事件が,同市議の自殺によるものではなく,同市議の活動を快く思わない何者か
による他殺であり,しかもその何者かは被控訴人ではないかとの印象を与えるもの
であり,これに続く本件検察官発言を含む控訴人矢野の発言に関する記述を併せて,
これを一般の読者の普通の注意と読み方を基準に読解すると,本件記事は,朝木市
議転落死事件は自殺ではなく他殺であり,これに被控訴人が関与しているとの印象
を与えるものである。このような解釈は,言語学の観点からの分析でも明らかであ
る。
 言語学の語用論における関連性理論によれば,人間の情報処理(認知)は,自分
にとって関連のある情報に注意を払うようデザインされており,個人の持っている
想定に影響を与えたときにその情報は関連性を有するものとされる。そして,発話
の受け手は,当該発話について論理的に可能な解釈をすべて考慮して何が伝達され
ているのか判断するのではなく,不必要なコストをかけることなく,自分の持って
いる想定に影響を与えることが書かれているものと受け取るものであり,当該発話
のそれまでの文脈による想定に最も結びつきやすい解釈を伝えるものと認知すると
されている。
 本件記事の読者は,本件記事中のそれまでの記述から,被控訴人には朝木明代市
議殺害の動機があるだけでなく,朝木明代市議の自殺を宣伝しなければならない何
らかの事情があることや,被控訴人が会員である検事を使って事件の隠蔽工作を行
った疑いがあるとの想定を頭の中に持っている。その上で,被控訴人が同市議を殺
害したとの疑惑があることが週刊誌で報道され,それに対して被控訴人が名誉毀損
           東 京 高 等 裁 判 所
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で告訴をしたのに,「十二分に捜査した結果,創価学会側(信者)が事件に関与し
た疑いは否定できない」との理由で不起訴となったことが記述されているのである
から,読者は,被控訴人が信者に指示し,あるいは,信者を使って朝木明代市議殺
害に関与した疑惑があるという認識をほぼ断定的に獲得することになるのである。
第3 当裁判所の判断
 1 本件における事実の経過
 当事者間に争いがない事実と証拠(甲1,2の1ないし3,控訴人矢野穂積,同
乙骨正生)及び弁論の全趣旨によれば,本件における事実経過として,次の各事実
が認められる。
(1) 朝木明代市議は,平成7年9月1日午後10時ころ東村山駅前の6階建てマ
ンションの5階から6暗に至る非常階段から地上に転落し,翌2日午前1時に死亡
した。
(2) 朝木市議転落死事件については,朝木明代市議の遺族や関係者が他殺の疑い
があると主張していたが,事件を捜査した警視庁(東村山署)は,同年12月「犯
罪性はない」として捜査を終了し,東京地方検察庁も,平成9年4月「自殺の疑い
が強く,他殺の確証は得られなかった」として,検査を終結した。
(3) 被控訴人は,平成7年9月12日,講談社発行の「週刊現代」(平成7牟9
月23日号)に掲載された「東村山女性市議『変死』の謎に迫る・夫と娘が激白!
『明代は創価学会に殺された』」と題する朝木市議転落死事件に関する記事が披控
訴人の名誉を毀損するとして,上記記事を掲載した株式会社講談社と同記事にコメ
ントを寄せた朝木明代市議の夫である朝木○○,朝木直子を刑事告訴した,これに
対し,東京地検八王子支部は,平成10年7月15日こ上記告訴事件を不起訴処分
とした(以下「本件不起訴処分」という。)。さらに,被控訴人は,上記記事につ
いて,朝木○○,朝木直子,株式会社講談社及び同記事の編集長元木昌彦を相手と
して謝罪広告等を求める民事訴訟を提起したが,この訴訟については,上記記事が
被控訴人の名誉を毀損するとして,上記朝木らに対して,損害賠償金の支払と「週
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刊現代」誌上への謝罪広告掲載を命ずる判決が言い渡され,この判決は確定した。
(4)本件記事の内容(全文)は原判決別紙1記載のとおりであり,本件問題部分
(本件記事12頁)より前に記述された部分(本件記事8ないし11頁には,
「創価学会による人権侵害問題などに精力的に取り組んでいた朝木明代市議」,
「同事件を所轄する東京地検八王子支部で実際に捜査に当たった信田昌男検事は,
創価学園・創価大学出身の創価学会エリート。そして信田検事の上司にあたる地検
八王子支部の吉村弘支部長検事もまた,創価学会の副会長の妹を妻にしている創価
学会エリートだった」,「朝木さんを敵視していた創価学会は,事件発生直後から
事件を『自殺』,それも朝木明代市議に対してかけられていた『万引被疑事件を苦
にしての自殺』と大宣伝を繰り返し,」(本件記事8頁),「昨年11月,朝木直
子さんと矢野さんは,『東村山の闇』を上梓されました。その中で警察や創価学会
が主張する『自殺』説を根底から覆す新事実を発表されています。」,「警察や創
価学会が『自殺』の動機だと主張してきた朝木明代市議に対する『万引き』容疑が,
実は,確証のない冤罪であったこと。」(本件記事9頁),「担当の信田検事と吉
村支部長検事が創価学会幹部であり,創価学会コンビによって捜査の指揮が執られ
ていたことが判ってから後は,司法解剖すらも遺族に遺体を検証させないための仕
掛けだったのではないかと思うようになりました。」(本件記事11頁)などとし
て,被控訴人の名称を挙げて朝木房代市議の転落死について触れた記述部分がある。
 2そこで,本件記事が被控折人に對する名誉靉債に当たるか否かにりいて検討
する。
(1) 本件記事は,前記第2の3で引用したとおり,「特集/検証−新事実が明ら
かになった『東村山事件』」と屈する特集記事に掲載された座談会犯事であり,そ
の表題は,r座談会やはり『他殺』だった朝木明代市議怪死事件」とされ,控訴
人矢野,同乙骨及び朝木直子の3名による座談会を記事として構成したものである。
本件記事の冒頭部分には,朝木市議転落死事件につき警視庁東村山暑が「自殺」
として捜査を終了し,東京地方検察庁も同様に「自殺」として捜査を終結したこと,
          東 京 高 等 裁 判 所
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被控訴人は,同事件発生直後から同事件が「自殺」であるとの宣伝を繰り返してき
たこと,ところが,同事件について,遺族・腿係者による真相究明の努力の結果,
同事件が「他殺」であったことが新事実の判明により明らかになった旨の記述があ
り,「事件の真相解明に尽力する朝木直子,矢野穂積の両市議と,朝木明代市議の
転落死事件について『怪死』を出版し,事件は『他殺』の可能性が高いことを指摘
してきた本誌発行人の乙骨正生が,新事実に基づき事件を検証した。」(本件記事
9頁)と前置きが記述されている。
 続いて,本件記事の座談会部分の冒頭に,控訴人乙骨の発言として,「明らかに
なった新事実とは,まず第一には朝木明代市議の遺体を司法解剖した『鑑定書』に,
第三者と争った跡である皮下出血に伴う『皮膚変色部』が上腕内側に認められると
記載されていたこと。第二には,警察や創価学会が『自殺」の動機だと主張してき
た朝木明代市議に対する『万引き』容疑が,実は,確証のない冤罪であったこと。
さらにはそうした事実の積み上げの結果,裁判所が朝木明代市議の転落死は『自
殺」ではないと認定したという事実などです。」(本件記事9頁)として新事実の
概要が提示されている。
 そして,それに読く座談の記事として,第一の事実については,転落死事件から
4年半を経過した平成11年4月28日,東京都を被告とする救急隊に関する訴訟
で,東京都側が鑑定書を提出したこと,同鑑定書中の「創傷の部位・程度」の「説
明」の項に朝木明代市議の左右の上腕部に皮膚変色部があり,皮下出血を認めると
の記載があること,これは法医学の医師によれば,他者と争った跡と推認するのが
常識であり,「他殺」であることが客観的に証明されたと考えられる等の発言,第
二の事実については,朝木明代市議の「自殺」の動機と考えられていた「万引き被
疑事件」が,潮出販社を披告とする裁判の過程などでその虚構性が明らかになって
きたこと,朝木明代市議から万引きの被害を受けたと届け出た洋品店の店主の供述
する犯人の服装と,犯行当日に朝木明代市議が着ていた服装が全く違うこと等の発
言,さらに,上記の事実等を審理した東京地方裁判所は,雑誌「潮」の記事に関す
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る名誉毀損訴訟の判決において,朝木明代市議が自殺したとの事実が真実であると
認めるには足りないこと,同人を「万引き被疑事件」の犯人と断定するに足りない
と判断した判決をしたこと等の発言がそれぞれ記載されている。そして,本件記事
の最後の部分には,控訴人乙骨の発言として,「では,誰が,朝木明代市議を殺し
たのか,『万引きを苦にしての自殺」とのシナリオを描いたのは誰なのか,今後は
その真相解明が焦点になる。」(本件記事15頁),控訴人矢野の発言として「時
効まであと7年。いま,ようやく真実解明の端緒についたとの思いです。」(同)
朝木直子の発言として「そして犯人の検挙です。母の言葉ではありませんが『真相
究明の為,徹底的に闘います』。」(同)として座談会の締めくくりがされている。
 本件問題部分は,本件記事のうち上記第一の事実に関する座談の中で,「週刊現
代」に掲載された「東村山女性市議『変死』の謎に迫る・夫と娘が激白!『明代は
創価学会に殺された』」と題する記事につき,被控訴人がこの記事にコメントを寄
せた朝木○○及び朝木直子を名誉毀損罪で告訴した事件を東京地方検察庁が不起訴
処分としていたところ,控訴人矢野と東京地方検察庁八王子支部の担当検事と面談
中に,被控訴人の代理人であった井田吉則弁護士から同事件につき担当検事に電話
があり。同検事が「告訴から3年間,十二分に捜査した結果,創価学会側(信者)
が事件に関与した疑いは否定できないということで,不起訴の処分を決めたんです
よ」と発言したとの控訴人矢野の発言部分である。
(2)被控訴人は,本件記事の読者は,本件問題部分に至るまでに,その文脈から,
朝木市議転落死事件と被控訴人に何らかの関連があるとの印象を持つに至ると主張
するが,本件問題部分に至るまでの本件記事の記述は,上記前置き部分と第一の
「鑑定書」関連についての事実に関する部分であるところ,これらは,朝木明代市
議が被控訴人による人権侵害問題に取り組んでいたこと,捜査に関係した検察官2
名が被控訴人の関係者であったこと,被控訴人が朝木明代市議を敵視していたこと
及び被控訴人が朝木明代市議の死は「自殺」であるとの大宣伝を繰り返していたこ
とであるにすぎず,これを一般読者の普通の注意と読み方を基準として読んだ場合,
       東 京 高 等 裁 判 所
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その文脈から,朝木市議転落死事件と被控訴人に何らかの関連があるとの印象を持
つと認めることはできないというべきである。確かに,本件問題部分に至るまでの
記述の中には,上記1の(4)記載のとおり,被控訴人の名称を挙げる記述がある
が,これらの記述の内容及びこれらの記述が4頁にわたる木件問題部分に至るまで
の記述のうちのわずかな部分であることを考慮すると,上記被控訴人の主張は採用
できない。被控訴人提出の意見書(甲29,30)を勘案しても上記判断を覆すに
足りない。
(3)本件問題部分については,その内容が,控訴人矢野が別件で担当検察官と話
していた際,たまたま被控訴人の代理人から架かってきた電話を聞いたというもの
であり,電話の相手である井田弁護士の発言を直接聞いたものでな(,検察官発言
部分がどのようなやり取りの中でされたものであるかが明確でないことは,本件問
題部分の文面から明らかであること,検察官発言部分に続いて井田弁護士がこのよ
うな会話があったことを否定している旨が記載されていることに加えて,問題とさ
れている検察官の発言が「創価学会側(信者)」が事件に関与した「疑い」が「否
定できない」というものであることに照らすと,本件問題部分を一般読者の普通の
注意と読み方を基準として読んだ場合,被控訴人が朝木明代市議を殺害したとの印
象を持つことはないと認められる。
(4)そうすると,本件記事を一般読者の普通の注意と読み方を基準として,記事
全体を通読した場合には,朝木市議転落死事件は,朝木明代市議の自殺であるとし
て捜査は終結されたが,その後新たに判明した事実によれば何者かによる「他殺」
であること,今後は更なる真相究明とともに犯人の検挙が望まれることを訴える趣
旨の記事であることは読み取れるけれども,本件記事が,特定の個人なり,団体な
りを朝木市議を殺害した犯人であると断定するものであることまでは,到底読み取
ることはできない。
(5)上記の検討によれば,本件記事は,朝木市議転落死事件は,被控訴人が朝木
明代市議を殺害した「他殺」事件であるとの事実を,明示的にも黙示的にも摘示す
     東 京 高 等 裁 判 所
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るものとはいえないから,被控訴人の名誉を毀損するものということはできない。
 3 以上によれば,被控訴人の請求は,その余について判断するまでもなく,い
ずれも理由がないから,これを棄却すべきである。
第4 結論
 よって,上記判断と結論を異にする原判決中控訴人ら敗訴部分を取り消し,被控
訴人の請求をいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。
   東京高郷裁判所第1民事部

        裁判長裁判官   一  宮   な ほ み


           裁判官   出  屋   文   昭


           裁判官   市  川   多 峰 子
      東 京 高 等 裁 判 所
−10−


これは正本である。



 平成19年9月26日


  東京高等裁判所第1民事部

   裁判所書記官 早川 みゆ紀

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